ごあいさつ

教育理念と方向性(挨拶にかえて)

園 長 柳 晋
[Yanagi Susumu]

education through environments(環境を通して学び続ける子どもたち)

幼児期の発達の理論(順序性・個人差・相互の関連性)や長年にわたる実践の成果に基づき、園内は様々な意図をもって環境づくりや取り組みがなされています。子どもたちが実際に一歩足を踏み入れたとたん、思わず関わってみたくなる「何か」が園内にはあることでしょう。施設という限られた場所で、園の環境が幼児の心に語りかけ、対話を繰り返しながら徐々に馴染んで自分のものになっていく、そんな自立へ向けた過程が園生活です。これを物心両面から子どもの生活リズム(活動する・休息する・くつろぐなど)に寄り添った形で実現していきます。
とりわけ、安全で安心できる動線の確保と「子どもが子どもらしくいられること」を保障してくれるものが魅力的な遊具の数々です。園庭で思い思いに遊ぶ姿からは、子どもの動きにも色彩【iro】が見えてくるようです。冒険心をくすぐる広葉樹の〈ツリーハウス〉、縦にも横にもダイナミックな動きが楽しめる〈クライミングキャビン〉や〈きのこの家〉、おとぎ話の世界から現れたような〈デッキハウス〉、その横にたたずむハンドメイドの〈シーソー〉、また未就園児でも安心して親子でチャレンジできる〈カードコンセプト〉の総合遊具等、子どもがじっとしていられない魅力が散りばめられています。昔からの定番と言われるブランコやジャングルジム、登り棒は鏡面処理されたオールステンレス製を採用し、感触の滑らかさだけでなく+αの効果ももたらします。さらに前庭に印象的なお話の部屋〈ログハウス〉や野外の簡易調理スペース、大空を仰ぐように地面から生え出たモニュメント遊具〈サンゴ〉、園庭どうしを結んだ滑り台など起伏を活かした回遊が楽しめます。さて室内では、自ら選んで家庭に借りていく絵本のコーナーも大人気です。近くには絵本から抜け出したようなウサギさん、園の主のカメさんたちが子ども達を温かく導いてくれます。外のクジャクさんやインコさんたちも園の仲間として生活を共にします。
これら、どれをとっても幼児に必要な体験、つまり「しなやかな心と体ができていくキッカケ」を提供します。幼児期にふさわしい生活がナチュラルに展開するよう、「応答する環境」として掛け替えのない幼児期(限られた時間)を意味あるものにしてくれています。

education through environments(環境を通して学び続ける子どもたち)

guidance of play(遊びが教科書)

子どもは大人のミニチュアではありません。子どもという人格者です。大人目線での偏った諸能力の鍛錬や早期からの開発を警戒し、むしろ幼児期の「発達に見合った完成度」を毎日の成果として積み上げていきます。その中心が「幼児期のあそび」です。子ども自らが自発的に取り組み、無条件で楽しいと感じ没頭できることで展開していく一連の行為です。大人の考える勉強や仕事の対価としての「遊び」とは異なる解釈です。こうした活動こそ幼児期という限られた期間で十分保障しないと、心身の調和のとれた発達を促すことはできません。また「あそび」は、集中することで情緒を安定させ、その安定や場への信頼がさらに探究心や興味の持ち方を深めることに繋がるという好連鎖を誘発します。「よく遊びよく学び」がまさにそれです。楽しく遊んだ結果として「なにか」が残る。遊びは目的を持たずして成果をもたらします。とりわけ友だちや保育者と関わることで意味あるものになる集団生活での遊びは総合的な学びの宝庫です。自分の中で面白さを追求し、そこから充実感を味わって納得するまで遊び込めること。ひとり一人のあそびのストーリーを大切にし、子どもの心の動きに共感できる保育者ティームとして、それを見守り、共に参加し、時にリーダーとしての立ち位置から保育の質全体を向上させています。

guidance of play(遊びが教科書)

personal experience of everyday(個々の発達の課題に応じる)

今は技術革新と合理化が日常生活のスタンダードとなっています。少子高齢化時代において地域の人口動態も様変わりしており、同年齢の友だちと一緒に近くの公園で遊んだり、子どもなりに家庭でお手伝いをしたりする体験も減っています。
そうした家庭においての個々の育ちぶりも多様となり、育ちの経過や発達の状況もひとり一人違ってくることから、それぞれの課題を園と共有しながら対話を通して連携をしていきます。
当園は未就園児の親子の集いの広場〈めだかクラブ〉も自然な形で園内保育と並行して行っています。保護者の方が安心して、楽しく子育てができないと困ってしまうのは子どもです。ひとり一人の発達状況に応じて、柔軟で、きめ細かい指導計画を提案し、望ましい集団生活への参加に向け自立を促します。地道で時間も要しますが信頼関係なくして実現は困難です。実践や専門的な論理は保護者の方を中心とした家庭と園との良好な関係があってこそと考えます。

personal experience of everyday(個々の発達の課題に応じる)

富士見幼稚園が大切にしていること

「心豊かなたのもしい子ども」の育成をめざして

1

健康で明るくのびのびした子ども

  • 明るくのびのびと行動し、園生活で充実感を味わう。
  • 体を十分動かし、すすんで運動しようとする。
  • 「健康で安全な生活」をするために必要な習慣があることに気づく。
  • 意欲をもって生活し、なんでも自分でしてみようとする気持ちが育つ。
2

周囲の人と親しむ中で、自立心を育み、思いやりのある子ども

  • 園生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう。
  • 周囲の人と親しみをもちながら関わりを深める。
  • 一緒に活動を楽しみ、工夫したり協力したりして愛情や信頼感をもつ。
  • 社会生活に必要な、望ましい習慣や態度を身につけていく。
3

物ごとに好奇心や探求心を持って、自ら関わっていく子ども

  • 身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で興味関心をもつ。
  • ものに関わる中で、発見を楽しんだり考えたりしようとする。
  • 身近な事象を見たり、考えたり、扱ったりする中で、感覚を豊かにする。
4

言葉に対する感覚や表現力が豊かな子ども

  • 自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。
  • 人の話をよく聞き、自分のことを話しながら伝え合う喜びを味わう。
  • 日常生活に必要な言葉がわかり使いながら文字などにも興味を示すようになる。
  • 絵本や物語に親しみ、言葉に対する感覚を豊かにし、友だちと心を通わせる。
5

考えたこと感じたことを豊かに表現できる子ども

  • 周囲のものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ。
  • 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。
  • 生活を送っていく中で、イメージを豊かにし、様々な表現を楽しむ。
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